小沢自由党党首 民主合併でインタビュー
「政権交代が改革の早道」
岩手日報 平成15年7月25日(金曜日)
【東京支社】自由党の小沢一郎党首(岩手4区)は二十四日、民主党との合併問題について「形のうえで譲歩したように見えるかもしれないが、われわれの主張を放棄したわけではない」とし、「政権交代が実現すれば結果的にわが党の政策を実行する早道になる」と説明。次期解散総選挙を日本の政治システムを変える大きな転換点と位置づけ、自民党政権の打倒に強い意欲を示した。岩手日報社の単独インタビューに答えた。
同党首は「野党が政権を取ることが今の日本の閉塞(そく)状況を打破し、国を立て直す第一歩になる」とこれまでの主張を繰り返したうえで、「自由党のままで主張を訴え続けても、国民の理解が得られるという見通しは変わっていない。しかし、それには時間がかかる。日本の置かれた現状は限界点に来ている」と野党第一党の民主党を軸にスピーディーな政治改革の必要性を強調した。続けて「政党はそのもの自体の存続が目的ではない。国民のための政治を行うことが最大の目的だ」と「吸収合併」の大義を語った。
民主、自由以外の野党の動向については「無所属の会からも何人かは入るだろう。社民党は古いイデオロギーに固執している人は別だが、今の同党の状況は何とも厳しい」とオール野党の大同団結にも期待感を表明。
政界再編の中枢に位置し五五年体制を変えた細川連立政権、その後の新進党、自由党とたどった経緯について「自民党政治を変えるというプロセスは長くなったが、私自身のこれまでの諸々の反省も含め、(今回は)慎重にやらないといけない」と述べた。
次期衆院選に臨む方針として「自由党は候補者全員が小選挙区に立候補することが原則だ。民主党もその方針だ」とし、「合併によって比例票は相当、上積みされるだろう、特に東北は圧倒的に勝つと思う」と自信を示した。
県内状況については「県連会長の達増拓也衆院議員にも民主党の方々と協議しなさいと指示している。県民の皆さんにはこれまでも強い支持をいただいてきたが、政権交代に向け、両党の連携が強まることで本県基盤は一層、強固になる」と語った。
小沢一郎氏のインタビュー詳報は次の通り。
(聞き手は東京支社・川井博之)

―民主党との合併を決断した最大の理由は。

「このままでは自民党、公明党の連合軍に勝てない。やはり野党が大同団結して次の総選挙で勝たないといけない。政権をとることが今の閉塞(へいそく)状況を打破して、日本を立て直すスタートになる。本当の意味での改革の第一歩だ。だからみんな一緒に手を合わせてやろうということがなんと言っても最大の理由だ。政権交代による政治の刷新、日本の再建だ」

―県内の支持者は自由党に対する思い入れが強くある。今回の合併にあたって有権者にどう説明するか

「私自身も新進党から自由党まで、仲間とともにつらいところを助け合って頑張ってきた。特に県内では県民のみなさんがよく理解していただいてわれわれの政治姿勢と志を支持してくれたと思っている。そういう意味で大変感謝しているし、今まで自由党として歩んできたことにプライドを持つと同時に愛着も感じている。しかし、政党というのは政党そのものの存続が目的ではない。政権をとって良い政治をするための手段だ。政治の現状を考えれば野党が団結して自民党に勝って国民のために政治を行うことこそがわれわれの最大の目的だから、その目的を達成するためには手段に固執していたのではいけない。野党の大同団結といえば、岩手は別として全国的に見れば民主党が断然第一党だから、その意向もしんしゃくしながら行動する以外に仕方がない。しかし、やがて政権をとったときにわれわれの政策を具体的に実行するため、結果的には早道になると思っている。その点は県民のみなさんにも理解してもらいたい」

―自由党がかなり譲歩したと受け止める向きがある。自由党は一貫して政策を掲げ、規模が小さくなっても改革を唱えてきた。

「今の自民党の政治は行き詰まり、崩壊すると思う。自由党のままでもわれわれの主張を続けていけば、必ず国民に理解してもらい、多数をとる時がくるという見通しは変わっていない。ただ、そこまでは時間がかかる。それと同時に混乱をできるだけ早く未然に防いぎ、日本が崩壊する前に政権交代でうみを出し、腐敗した権力構造を打破し、解決できるならそれが一番いい」
「今回は、民主党も本気でやりますということで、それなりに決断した。われわれの主張を放棄したわけではない。一つの政党の中で、議論してよりよいものをつくればいい。われわれの主張に賛成する人は大勢いる。ただ、合併するに当たっては、野党第一党である民主党の立場を考え、われわれとしては我慢して認めましょうということ。形の上で譲ったことは事実だが、逆に言うと自由党の主張、活動の舞台が広がった。さらに政権に近くなったということをぜひ理解してもらいたい」

―今回のような決断がもう少し早くできれば、政権交代の道がより早く開けたのではないか。

「一番は細川連立政権が崩壊したことが大きい。あの時もう一、二年やっていれば自民党は確実に崩壊し、自民党崩壊によって連立の七党八会派がもう一度再編になった。そのチャンスを逸してしまってプロセスが長くなったことについては、私も実に反省している。国民、県民のみなさんに申し訳ないと思っている。だから、今度こそはチャンスを慎重に確実に生かすつもりだ。明治維新も十五年かかっている。今はまだ十年だから」

―県内は民主党の基盤が弱い。次期衆院選ではどう支持を求めていくのか。

「自由党の名前がなくなり、党名が変わることによる心情的、その他のデメリット以上に政権を担いうる可能性の集団の中にわれわれがいるということへの期待感の方を県民も分かってくれるだろう」

―他の政党、会派にも呼び掛けるということだが。

「民主党がリーダーシップをもってやらなければいけない。無所属の会は何人か除いて入るのではないか。少なくとも今、参院で院内会派を組んでいる人の多数の人は入ると思う。社民党も特別な古いイデオロギーに固執する人は別として、そうでない人も何人か参加するのではないか。その意味では選挙までにオール野党というようになる可能性もある。共産党も消極的な協力はできる。擁立しなければいい。政権を代えるためには協力できる。擁立することは自民党政権を援助しているようなものだ」。

―政権交代が現実のものとなった場合、その後の政界はどうなるか。

「もう一度、再編があると思う。自民党も考え方でまとまっているわけではない。権力でくっついているだけだ。それぞれどういう道に行こうかということになる。今の野党が集まっても、それぞれ考え方に違いがある。既存の強力な古い基盤を壊さないと全体の再編にならない。だから政権交代によって古い権力基盤を壊し、もう一度やり直す。何としても政権交代させなければならない。自動的に自民党は崩壊する。それが国のためになる」
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