民自合併で政権奪取へ
「選挙戦では一致協力・・・・新進党の轍は踏まない」
「影の内閣に民間人・・・・自民にできない政策提示」
産経新聞 朝刊 平成15年8月12日(火曜日)
自由党の小沢一郎党首は産経新聞のインタビューに応じ、民主党との合併の意義や政権交代への戦略などを語った。小沢氏は、政権奪取には「国民に分かりやすい政策」と「与党に対抗できる陣容の『影の内閣』」の提示が重要だと強調。内部分裂で自民党打倒を果たせなかった新進党の失敗は繰り返さないとの決意を表明し、「次期衆院選では圧勝できる」との自信を示した。

──民主党がこれまで政権政党たりえなかったのは

「選挙で自民党はいいと思って投票している人はほとんどいないが、今まで政権を担当してきた上、それほどばかげたことをしない。一方、野党は政権をとると何をやるんだろうという不安感が国民にあり、政権を任せられる安心感や安定感、期待感を与えられなかった。民主党はかつての社会党とは違うが、国民の目には万年野党的な要素とイメージがあった」

──民主党は自由党との合併でどう変わる

「民主党の持つあいまいさは日本人にとって安心の一つの材料だ。自由党は政権担当経験もあるという意味で安心感、安定感はあるが、非常に急進的な主張なので、あいまいさを好む日本人には異質で、多数派にはなれなかった。両党は互いにない部分を補完し合い、政権交代の受け皿として体裁が整ったという期待感が生まれている」

──細川連立政権の失敗を克服できるか

「細川連立政権は、ぼくたちが与党を飛び出したことで、たまたま合わさってできた政権だ。(民主、自由両党の合併は)既存の野党の合体で一つの大きな受け皿ができ、二大政党がぶつかり合う構図をつくった」

──その後、誕生した新進党は自民党を倒せなかったが

「(新進党結成は)在野勢力の大同団結の第一幕ではあった。新進党も党内が一体であれば、自民党に勝てる安定感は持っていた。反省もあるが、党首選を境に敗れた方が非主流グループを結成し、ことあるごとに対立してイメージが悪くなった。(平成八年の)衆院選選挙区でわずか一万票差以内で七十人が敗れ、自民党二百三十九議席に対して百五十六議席に終わった。自民党のように、選挙のときだけでも一致協力して頑張れば結果は違っただろう。日本の議会政治のためにも今度は成功させなければならない」

──民主党は同じ道をたどらないか

「足の引っ張り合いにならないようにするために、ぼくは一兵卒でやると言った。菅直人(代表)さんが新民主党の代表でいいと言ったわけだから全面協力する。指揮系統は一本にしないとだめだ。仮に民主党内にゴタゴタがあっても、われわれの存在がいい意味で糧になるのではないか」

──新民主党の中で自らをどう生かす

「それは関係ない。要は政権をとるために選挙に勝つことだ。自民党議員で評価できる点は、選挙運動だけは一生懸命やること。彼らはメロメロになっても生き残る。だが、野党の議員は自分で選挙運動をしない。新進党のときもそうだった。チャーチル、サッチャー、ブレア(各歴代英首相)も戸別訪問して歩いた。それがみっともないとか、古臭いとかいう人はどうかしている。選挙運動はそれ以外にない」

──次期衆院選での勝算は

「世論調査で四〇%しか合併を支持していないという人もいるが、四〇%とは非常に大きい数字だ。自民党の前回衆院選(平成十二年)の得票率は選挙区で四〇%そこそこで、比例代表では二五、二六%程度。期待値が四〇%であれば、民主党は次期衆院選選挙区で四〇%以上の得票率で圧勝できる。あとは政権交代への期待感をさらに高めることだけ。選挙で勝つときは圧勝だ」

──政権交代への安心感、期待感とは

「ポイントの一つは、自民党にはできない政策を国民の誰もがわかるように三つか四つ掲げ、絶対にやりますと約束することだ。役人の作文のようなマニフェスト(政策綱領)は誰も読まない。自分たちが政権をとって二、三年でできなければ下野します、という殺し文句を言えるかどうかだ。もう一つは、与党の内閣に対抗する『シャドーキャビネット(影の内閣)』だ。選挙に勝ったらこういう内閣をつくりますという顔ぶれを事前に示す。それをポンと打ち出せたら安心感と期待感が一層高まる」

──民主党には「ネクストキャビネット(次の内閣)」がある

「同じことだが、自由党と合併するのだから、英国のように、現実的なものにすべきだ」

「影の内閣」はどんな布陣になりそうか。菅氏は現職知事を閣僚に、といっている

「フランスのように国会議員が市長をできるというのもいいかもしれない。イメージアップの要素も必要だ。ただ、安心感、安定感があるからといっても、奇をてらうようなやり方はだめだ。この人ならいいと思う人でないと。民間人の起用もいい。菅さんから相談があれば、そういう」

──鳩山由紀夫前代表については

「『邪魔なら私抜きで合併をやってください』と、自分を殺した。大変立派だった。鳩山さんも民主党の中で安定感、安心感の一要素だった。(閣僚候補など)何かきちっとした地位についたほうがいいと思う」

──社民党も「影の内閣」の名簿に入るか

「そのためには選挙などでの協力関係をもっと緊密にしないとだめだ。一番いいのは合併だ。これをマイナスとみる人も多いだろうが、ぼくは絶対にプラス要因だと思う。野党が本気で政権をとるために力を合わせるようになったというイメージを国民が持つようになるプラスの方が大きい。社民党票は創価学会の票より固い。創価学会は他人の選挙だとやらないが、社民党は野党全体でやろうとなったら票がこぼれない。しかも自民党と同じで地方ほど強い」

──「石原新党」が政権奪取への障害にならないか

「それはない。(石原慎太郎都知事との連携も)ない。立派なことばかり言っているだけではだめだ。新党はできないだろう。自分でリスクを負い、自分の責任で行動しなくては政治家ではない」

──小泉純一郎首相が衆院解散を先送りすることは

「自民党総裁選で再選されれば、解散はあまりしたくないのではないか。こっちがまとまって上り調子のときに、リスクを冒す必要もない。(解散までの期間が)長ければ長くたっていい。政治、経済、国際情勢が今よりよくなることはない。(解散を先送りしても)自民党、小泉首相にいいことは何もない。どっちがいいかは明白だ」

──小泉氏が自民党総裁に再選されず離党したら

「彼にはそんな気はない。改革に値するものをやろうとしたら自民党と決別する以外にないのだが」

──新民主党が政権をとれば、政界地図はどう変わるか

「自民党がバラバラになり、もう一度再編が起こるだろう。壊れた中から、その系統を引き継ぐ新しいエネルギーがわき上がり、われわれの側でも議論の対立が出てくるかもしれない。今の姿を固定した勢力だとは思わない。二大政党制が定着し議会政治がルールに乗るには、再編がもう一度必要だろう」

──そのときの対立軸は

「コンセンサス(合意)社会を前提とするか、われわれのいうフリー(自由)、フェア(公正)でオープンな社会にするか。内向きか外向きか。そういう二大政党ができればいい。日本のコンセンサス社会が全部悪いと言わないが、今の時代はもっとオープンでフリーな政府と社会をつくらないといけないと思う。その二大哲学の対立だ」
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