新春スペシャル 田原総一朗の一刀政談
「日本まだ蚊帳の外の方が・・・」
何てことはない農業自由化・・・困るのは“利権の亡者”農水省
スポーツニッポン 1月3日(土)号
危険!危険!危険!

――昨年十二月二十六日に自衛隊の先遣隊が出発しましたね。これはどう見ていますか?

小沢 僕は小泉さんも、日本人の多くの人も、依然本気じゃないと思いますよ

――そこが問題ですよね。

小沢 そう、格好つけだけですから

――明らかにイラクは危険な地帯。

小沢 当たり前ですよ

――非戦闘地域なんてない。

小沢 ないです、ないです

――そこに自衛隊が行くということは危険地帯に行くということですよね。

小沢 危険だから軍隊が行くんですよ。安全なら軍隊が行く必要はない

――安全ならボーイスカウトでもいいわけですよね?(笑い)

小沢 そうそう(笑い)。自衛隊が行くということは、紛争地域でまだ危険だからですよ。でも日本では、そういう論議に全然ならないでしょ。ごまかしばっかりです

――イラクへの自衛隊派遣をめぐって、自民党の政策がここで大転換したと思うんですよ。今までの歴代の総理大臣はとにかく“冷戦に巻き込まれるな”だったんですよね。

小沢 まぁ、加帳の外にいたからね。蚊帳の外の温室にいた(笑い)

――蚊帳の中に入らなかったんだよね、ずっと。入らないことがいわば自民党の最大の政策だった。小泉さんは蚊帳の中に入っちゃたんだよね。

小沢 形の上ではそうでしょうね。だけど、心理的には違うと思う

――まだ入っていない?

小沢 まだ入っていないと思う、心理的には

――入る意識なくて入ったら一番危ないんじゃないの?

小沢 そうです。だから日本は危ない。危険だって言うんですよ。真理的には、自民党は社民党と一緒です

――まだ?

小沢 同じですよ、まだ

――まだ蚊帳の外がいいんですか?

小沢 蚊帳の外の方がいいんですよ、自民党は。国民の多数派もまだ、できれば蚊帳の外にいたいわけです。だから自民党が政権を取っていられるんですよ。蚊帳の外にいたいにもかかわらず、米国にやんややんや言われて、なんとなくそういうわけにもいかなくって、“ちょっと蚊帳の中に入る格好だけはつけなきゃ”となった。その政治手法が危険だということです


日米経済同盟

――誤解されることが多いんだけど、民主党は蚊帳の中に入るのに反対ではないんですよね?

小沢 そういう人が大多数だと思いますよ。ただ、そこをクリアにスパッと言えない。ちょっとウジウジしている

――小泉さんが自衛隊をイラクに派遣することを決めた。小沢さんは米国に要請されたからといって行くべきではない、国連の安保理決議があるべきだと。米国追随だと国民の多くも思っています。それでは、追随しない日本の行き方はあるんですか?

小沢 あると思いますね。現にフランスやドイツがそうですから

――フランスやドイツはできる。

小沢 日本もできる

――フランスやドイツには欧州という共同体がある。ユーロとの統一通貨までつくった。日本は残念ながら、アジアで欧州みたいな共同体を持っていない。だから、結局は日米同盟しか頼りにできないと考えても仕方ないかなとの意見が多いんですよね?

小沢 日米がもっともっと緊密になるべきですよ

――緊密に?

小沢 はい。EUは軍事もそうだけど、基本的には経済共同体ですよ。生活の基礎です。日本はそれをアジアで持つべきだと、もちろん思います。しかし、同時に日米で、もっともっと緊密にすべきですよ

――もっともっとということは集団的自衛権を?

小沢 それは軍事の話でしょ。僕が言うのは経済の話です。

――自由貿易圏にすると?

小沢 そうです。米国との自由貿易圏をつくるということですよ。そうなれば本当の同盟国ですよ

――なるほど。今、流行の言葉で言うところのFTA(自由貿易協定)ですね。

小沢 そうです

――日本と米国がFTAをやるのにどっちの反対が強いの?

小沢 米国です

――米国?

小沢 本当はね。日本は問題ないんですから

――農業は?

小沢 農業なんか大して難しい問題じゃない


自民には無理

――一般的にはアジアの国々とのFTAがうまくいかないのは日本のせいで、米国とのFTAがうまくいかないのも、日本の農業が破壊されると思っているからと考えられていますが。

小沢 そう思っている人が大部分だけど、それはうそ

――実は違う?

小沢 違います。農水省とか農協とかが、自分たちの権益を守るために反対しているんですよ。でも、僕は以前から、農業についても全部フリーにしろと、農民の前でも言っています

――農業自由化?

小沢 自由化。全部

――小沢さん、岩手県ですよ?(笑い)

小沢 後援会の人たちはみんな農民です(笑い)。市場はなるべくフリーにしなさいといっている。ただ、食料の自給体制がない国はありません。食糧自給のために、生産費と市場価格の差額は国民全体で負担する、という考えです

――そういう意味では保護しなさいと?

小沢 そうそう。そのためのお金はわずかなものですよ。農林水産の生産総額は13兆円。日本の農林水産業を維持するために必要な交付金は、多分その1割、1兆円ぐらいだと思います

――主には米ですよね?

小沢 そうですね。でも、小麦、大豆とか、他の主要な食糧も対象にしていいんです。それに、自由化しても、現実には国内産の市場価格はそれほど下がらないと思います。米だってミカンだってそうでしょ。リンゴなんかも実際には国際競争力を持っていると思います。日本の農産物はどれも、かなりの競争力があるんです

――反対しているのは?

小沢 組織の連中ですよ。権益にしがみついている農水省。自分の権益を守るために反対しているんです。農民のためじゃない。農民のセーフティーネットというか、国家の安全保障として食料自給体制の仕組みをちゃんとつくっておけば、自由化は何てことない。全然平気です

――そうなると大変だ。自民党にできるかどうか。

小沢 自民党にはできません。できませんよ、絶対に

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