「岡田君に自覚促した」 民主・小沢氏に聞く
朝日新聞 9月16日(木)
無投票再選を決めた民主党の岡田代表に対して党運営や安全保障問題で批判を続けるのが、小沢一郎前代表代行(62)だ。内紛の兆しか、主導権争いなのか、党内外で様々な憶測が飛ぶなかで小沢氏に真意を聞いた。

水害・ヘリ事故、すぐ行くべきだった

――参院選後、岡田代表の党運営や政策を批判したのはなぜですか。

小沢 一つはリーダーのあり方と党の体質。新潟県連から水害視察の要請があった際、党本部は要請は文書でと要求したといい、結局、岡田君は行かなかった。あれだけの災害なら、トップは自ら飛んでいかないといけない。沖縄の米軍ヘリ事故の時も遅れた。党の官僚的形式主義と岡田君自身の感覚。「これではいけない」と言いたかった。

もう一つは岡田君の安全保障論。岡田君は「憲法を改正して海外での武力行使を認める」と述べたが、10年以上前にも「現実の政治家として、現行憲法下でどうするのか」と注意したことがある。この間会った時も「君は米国から今、海外派兵の要請が来たらどうするのか。(要請を断れないならば)小泉首相と同じごまかしをすることになる」と話した。

――岡田氏の代表再選に反対だったのですか。

小沢 そうではない。ただ、今の民主党の年金改革案にしても、、サラリーマンからも自営業者からも総スカンだ。横路(孝弘)さん、鳩山(由紀夫)さんらとの会談でも、安保論と国民の関心の高い年金問題について、「まず岡田君の政策を聞こう」という話になっただけだ。

――再選された岡田氏に「天下人の資質」はあると見ますか。

小沢 もう選んだのだから、資質あるなしと言うわけにはいかない。ただ、トップには、基本的理念と、政権を取ったらこうするというビジョンが絶対に必要だ。同時に、国民にわかりやすく説明して歩くというパフォーマンスが主な役割になる。幹事長以下の担当者がやればいいようなことまでトップがやっていたのでは話にならない。岡田君にはそう言った。

――小沢さんの言動は結果的に党にマイナスだったのでは。

小沢 それは逆だ。問題点がわかっていながら口をつぐむのは不誠実だ。今、党内では岡田君に誰も何も言わないが、それでは必ず大きな間違いが起きる。だから、僕が「悪役」を覚悟してあえて正論を言っている。まあ、言っても聞かないけれどね。

――選ばれたからには協力すると。

小沢 それは当たり前だ。

――党総合選対本部長への就任要請は受けないのですか。

小沢 「総合選対本部長とは何をするのか」と聞いたら、岡田君は「選挙の実務を取り仕切ってもらいたい」と言った。しかし、それは幹事長の仕事だ。党の組織としては、不自然な姿になる。「一体どんな仕組みにするのか」と聞いたが、答えはなかった。それがこの問題のすべてだ。

自民党を倒すためなら、僕は逃げない

――政権政党になるために何が必要でしょう。

小沢 民主党政権なら何をどうするのか明確にすることだ。本当は政権が変わるだけでも意味がある。民主党は頼りがいがあるとかないとかいう問題ではない。しかし、国民が政権を変えようという行動に移るためには明確なものを示さないと。

――今の二大政党は政界再編の最終型ではないと考えているのですか。

小沢 民主党が政権を取ったら、自民党は必ず分解する。その中から、日本の伝統文化を色濃く受け継ぐ新しい政党が出てきてもらいたい。民主党も政権を取った上で、その中から新しい本当のリベラルな政党ができていく。内向きで伝統的なもの、コンセンサスを重んずる日本的な色彩の濃い政党と、オープンでフリー、もっと外向きで積極的な政党。この哲学の差が二大政党だ。

――小沢さんはどちらに?

小沢 僕も日本人だから体質的には前者だが、旧体制ではいけないという認識に立っているから、後者に属する以外にない。

――新進党では公明党と組みましたが、今後は。

小沢 創価学会が選挙応援をしてくれるというなら、別にいらないと言う必要もない。だが、それを前提にしてはだめだ。

――党代表、首相として先頭に立つ考えは。

小沢 僕がやった方が政権を変えられる確率が高いというなら逃げやしない。若手の間にも、僕が前面に出てやってほしいという願望はある。次の総選挙は深刻だから、本当に全国いろいろ知っていて選挙で実際に助けてくれる人がトップに立ってもらいたい、ということだ。

だけど、日本では、灰色のあいまいな部分の人たちをも加えて一緒にしないと多数を形成できない。本当に社会が激変し、実際の国民生活にかぶってくるような事態が起きない限り、僕が出る必要はない。

もう、僕自身にとっても、日本にとっても、時間はそれほどない。最後の機会だと思うから、ここ(次の総選挙)で成功させないといけない。うぬぼれて言うわけではないが、僕が今、短気を起こしてやめたら、誰が自民党を倒すのか。自民党を倒せなかったら、今まで何をやってきたのか、ということにもなる。仕方がないから我慢して、自民党を倒せる日が近く来ると念じてやっている。

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