政界再編宣言
「俺は何だってやる!!」
日刊スポーツ  
――小沢さんは次の衆院選が「最後のチャンス」と言ってきたが、今回がそうか。

小沢 今回はかなりハプニング的な解散だから、これが最終戦という位置付けではない。次の総選挙も早いとみており、「天下分け目の関ヶ原」はその2つの総選挙を合わせたものになる。今回の選挙で、民主党が政権を取れればベストだが、この一両年のうちに行われる2つの選挙は、日本の将来を決める最後の機会になる。日本にとっては、この2、3年が、最後の選択の場だ。僕も政治の世界に入って35年。自分の政治生活の集大成として、今回と次の選挙を合わせた最終戦に全力を傾けたい。

――また近いうちに総選挙があるのか?

小沢 やらざるを得ないだろう。自民党政権が続いた場合、今のところ小泉さんは、勝っても来年9月の任期でやめると言っている。そうすると新総理、総裁になる。内外の情勢は今より一段と厳しくなってくるだろうから、遅くても再来年には選挙せざるを得なくなる。中国問題がある。国内の状況もある。

――今回の選挙戦で民主は埋没している。どうしてか。

小沢 小泉マジックにテレビ、大新聞まで乗っている。国民の関心が小泉自民党に集まっていくのは無理もない。彼ほどすり替えがうまく、ケンカ上手な人はいない。民主党が対抗するには、彼と同じようなパフォーマンスでは無理だ。向こうはどうしても権力を駆使してやってくるからかなわない。それから、僕は本来ああいうイカサマは好きじゃない。

例えば、郵政民営化には賛成でも、小泉さんの言っている民営化の中身はおかしいじゃないか、という意見はある。ところが、小泉さんは「オレの出した法案に賛成か、反対か」ということだけに矮小(わいしょう)化して、イエスか、ノーかと問い詰める。邪道でインチキだ。それに立ち向かうには、正々堂々の政策的主張を展開して、分かりやすく国民にメッセージを送ることだ。

郵政問題ならば、われわれは郵便貯金の限度額を引き下げて、規模を縮小していくと言っている。そのこと自体は間違いではないが、最終的にどう改革するのか。そこを言っていない。だから、自民党に付け入れられる。「どうせ、民主党は組合があるから、言えないんだろう」と言われる。すると、国民も「そうだな」という見方になってしまう。岡田代表のリーダーシップで、ここはピシッと結論を出したらいい。

――郵政民営化への立場は。

小沢 僕個人としては、郵政3事業のうち郵便事業は、民営化にはなじまないサービスだと思う。すべての国民に一定の安い料金で、同じサービスを提供する。それは国が責任を負うべきものだ。一方、郵貯と簡保は財投制度と同様、役割を終えたから、段階的に縮小して最終的には民営化できるなら民営化し、それができなければ廃止すべきだと思う。郵政だけでなく年金、医療、介護でも、安全保障だろうが、靖国だろうが、教育、地方分権だろうが、自らの政策的主張を国民の胸に、心に届くような力強いメッセージとして発信することが、小泉政治の邪道を打ち破る王道だと思う。

――2つの新党をどう見るか。

小沢 巨大な権力を持つ現職総理大臣を倒すには、力を合わせないとダメだ。小泉郵政に反対した人たちが一致協力して、共同戦線を張ろうというのなら、僕は賛成だけれども、バラバラでやるのは得策じゃない。選挙は、小さい新党がポコポコ立ったら、絶対に弱い。小さい政党はますます小さくなっていく。政党本位の選挙で、できれば二大政党制にという仕組みにしたんだから。

無所属で戦って勝とうとしている人たちも、勝てば自民党に戻れると勘違いしている。現実には帰れないよ。例えば、野田聖子さんのところに出馬する自民党の女性候補は比例で上位に入る。仮に小選挙区で野田さんが勝ったとしても、岐阜1区の自民党議員は佐藤ゆかりさんにということになっちゃう。野田さんは永久に(自民党には)入れないんだよ。そして、権力から外れてしまったら、後援会組織だってドンドン崩れていく。大いなる過ちだ。

――無所属の方に小沢さんから呼びかけるということはありますか?

小沢 まず彼らが、今言ったことを事実として認識しなくてはダメだ。その認識に立って、みんなで大同団結すれば、30、40人のものすごい政党になるわけだ。そうなれば完全にキャスチングボートを握る。

――新党の結成前に、相談はあったのか?

小沢 (国民新党は)まったくない。田中知事の周辺からは(新党の)構想を聞いたけれども、小さい政党で、それぞれやるというのでは、お互いに足を引っ張り合うだけだから、賛成できないと、間接的には言った。(構想を聞いたのは)ずっと前だ。かなり前から田中知事は、その気があったのかな。

――この選挙で、政界再編の可能性は十分にある?

小沢 そう思う。いずれもう1度政界は再編された方がいいし、そうなるんじゃないかと思っている。民主党で政権を取ろうと全力投球するけれども、政権をとって自民党が下野すれば、自民党はつぶれる。その中から新しい保守政党が出来上がってくるというのが良い形だ。自民党がつぶれると、民主党だって、今のままの形でいいのかという議論が出てくる。その中から二大政党が誕生して、育っていくことで、初めて日本に議会制民主主義が定着するのではないか。

――小沢さんが再編の中心になるとみる人がいるが。

小沢 何かしようとするときは、誰か自分を捨てる人がいなとダメだ。自分が何かになりたいという人にはできない。その意味で、僕は今さら何かになりたいわけじゃない。本当に日本に議会制民主主義を定着させるためには、この方法がいいと思えば、僕はやります。何だってやりますよ。自分を捨てきれない人にはできない。オレはいい、だけどこうあるべきじゃないか、と言って初めて説得力になる。

――選挙の争点は。

小沢 小泉的政治が、本当に国民に幸せをもたらすのか、という視点で考えてほしい。この4年間で何があったか。郵政民営化と同じように道路公団の民営化もあった。民営化だ民営化だと誇らしげに言っていたけれど、あの結末はなんだ。結局、役所の言うとおりじゃないか。何を改革したんだ。小泉的改革なるものが国民にどのような利益をもたらしたのか。何もない。僕はくだらない騒動を起こしただけだと思う。その視点で、国民のみなさんが判断してほしい。

――ライブドアの堀江貴史さんが出馬した。

小沢 ちょっと、いただけない。彼は、今まで政治というものをまったく評価しないで、政治に関心がなく、政治なんてものは、と批判していた。その人が突然、政治の舞台に、しかも縁もゆかりもないところに出てきて、どういう考え方なのか分からない。彼が経済活動でいろいろやっているのは構わないと思う。フジテレビの話だって、彼が責められる話ではない。好き嫌いではなく、彼の言っていることは間違いではないと評価していた。だけれど、政治のことをクソミソに言っておいて、今ごろピョンと出るのは分からない。

――岡田代表が出馬要請しなかった判断は正しかった

小沢 そうだろうね。ああいう奇策というか、邪道は用いるべきじゃないと思う。選挙は誰が参加したっていいが、言動に筋が通っていない。
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