毎日新聞の全国世論調査で、安倍晋三内閣の不支持率(41%)が初めて支持率(36%)を上回った。一方、野党第1党の民主党も、都知事選候補者選出でもたつき、支持率も伸び悩む。4月の統一地方選、7月の参院選を前に、同党を率いる小沢一郎代表は何を考えているのか。【松田喬和、太田阿利佐】
−−都知事選の民主党候補者がまだ決まりません。
都知事選は、菅直人代表代行が候補選考役員の中に党本部として入っているから、菅さんに任せている。今、私がどうしろこうしろという立場にはない。
−−浅野史郎・前宮城県知事を推薦する可能性は。
それについては、僕はお話ししようがない。
−−参議院の1人区(改選数1の選挙区)での全候補者擁立の見通しは立ちましたか。
ほとんど終わった。まだのところは石川だけ。和歌山も決まりそうだし、島根も多分決まる。29ある1人区の過半数、15以上で勝つのが目標だ。そうすると改選する議席全体(121)では民主だけで50議席以上になる。現有からは20議席以上増える計算で、与野党は確実に逆転する。
−−参院選で与野党逆転した場合、政界再編になると予想されていますが。
(にこっと笑って)うん。そこまで行けばいいなあ、と。別に政界再編のイメージがあるわけじゃない。日本の政党は、理念や哲学でかちっとグルーピングされているわけではないでしょう。なんとなく権力に寄る方、そうじゃない方と、自分の置かれた状況でまとまっている。もう少し理念的な要素を含んだ政界再編ができると、日本にも民主主義が定着するんじゃないかと思う。
−−北朝鮮の核をめぐる6カ国協議などを踏まえて、東アジア外交をどう見ていますか。
中身ではすでに日本は孤立している。うわべは別にしてね。米国や中国ばかりか、北朝鮮にまで相手にされていない。それでも日本人が豊かで将来ずっと食っていけるならいいけれど、そうはいかないでしょう。基本的に幼児的すぎるんだ、日本の大人は。日本人一人ひとりが価値判断の基準をきちんと持つ普通の大人になり、国をつくらなければ外交的に相手にされない。特に男がダメ。これから期待すべきは女性だと思います。
−−小沢さんは事務所経費に関する情報を公開したが、与党には公表の意思が見えません。
総理をはじめ国務大臣、与党幹部もいろいろと指摘されているのだから、すでに公開した僕にケチをつける前に、より重要な立場にいる自分たちが公表したらいかがですか、ということです。民主党でも政治資金規正法改正案を出すとか出さないとか言っているけれど、添付する領収書の額を5万円以上から1万円に引き下げるとか、そんな枝葉末節を言うんじゃない、と僕は言ったの。
(大声で)大事なのはディスクロージャー、オープンにすること。違法行為は司法が取り締まる。妥当性はオープンにすることで、税金を納めた国民、献金した国民が判断する。オープンにされてなければ国民は、判断のしようがない。僕は以前から言っている。政治家は率先して政治資金を全部公開しろと。おかしな使い方をすれば、選挙で落ちる。民主主義はそういうものだ。
−−菅代表代行、鳩山由紀夫幹事長とのトロイカ方式はどうですか。
結果としてとても良かったと思うし、今後もこの体制でいきたい。僕も今まで紆余曲折(うよきょくせつ)があったが、理念を中心にどこまでも頑張るなら、別に自由党と民主党が合併する必要はなかった。ただ日本では、投票行為はそう理念的、論理的じゃない。だからあいまいな部分も含んで多数派を形成しないといけない、と気付いたわけです。僕と菅さんは生い立ちも手法も全く違うけれど、違うものが一緒に手を組んでやっていくのは日本では受け入れられる。最近ほら、マスコミからも小沢の顔が見えないとかなんとか言われて……。なんか僕がやれば、独善だとか強権だとか言われて、みんなで丸くやると言ったら今度は顔が見えないとか……どうすりゃいいんだ。あははは。
−−安倍内閣は憲法改正を最大の課題だと言っています。
憲法は最高法規であり、とても大事なものだ。時代が変わって、国民に不都合な条項が出てきたら変えればいい。ただ、観念的な議論はこれまでやってはきたが、安倍さんは自民党と感覚的にちょっと違う。どうしても変えたいと思っているのかもしれない。しかし、今日明日変えなきゃだめだというものではない。かみしもを着ないで、時間をかけ国民のコンセンサスを得ながらやればいいことだ。
■安倍首相評
◇ごくごくありふれた普通の人
◇あっちこっち「言動」コロコロ
−−発足5カ月の安倍政権の評価は。
全般的にどの世論調査でも、内閣支持率が落ちている。安倍さんは首相になる前には、かなり勇ましいこと、歯切れのいいことを言っていた。内容の評価は別にして、小泉純一郎前首相は口調や言葉を変えなかったが、安倍さんは首相になってからあっちこっちを向いて言葉や態度を変えてしまい、今もそれが続いている。そういうところが期待外れにつながった。
−−小沢さんは以前小泉前首相を「冷血のペテン師」と形容したが、安倍さんは。
普通の日本人だね。ごくごくありふれた日本人。ただ、これまでの首相は普通の人であっても、かなり経験を積み、それなりの人生経験と日本の風土を踏まえた、いわば処世の哲学を身に着けていた。年齢じゃなくて、政治家としての経験の積み上げがまだ足りないから、首相は荷が重いんじゃないかな。
■身内の評価は…
◇「執念」不足
◇一度落選…すぐ就職
−−民主党は格差問題に力を入れてきたが、参院選の対立軸として浸透してきましたか。
浸透してきたと思う。現在の政治に対する不満、将来の自分の生活に対する不安、これは国民の8〜9割が持っている。自民党に投票している人も含めてだ。そこにきちんとアプローチすれば絶対に勝てる。1人区は自民党王国だと言われるが、1人区ほど戦いやすい。なぜなら都市はまだ恵まれているけれど、地方はどんどん寂れてる。地域間格差はものすごい。くしの歯が欠けたみたいに街並みにぼこぼこ穴があいている。
−−シャッター通りですか。
シャッターが残っていればいいけれど、家ごとなくなっている。県庁所在地もそうです。宮崎県で東国原(ひがしこくばる)英夫さんが当選したように、自民党王国が一番自民党に不満を持っている。農協でも漁協でも医師会でも、産業別の組織は表向き自民党だけれど、あとはフリーパスですよ。
(強い口調で)民主党に何が足りないかと言えば、何がなんでも政権を取るという、執念と言ってもいい、根性と言ってもいい、とにかく人事を尽くす迫力だね。落選して、さあもう一度やるのだろうと思っていたら「就職しました」なんて候補者が結構いる。自民党なんか「他にやることないのか」と思うぐらい懸命だ。民主党は、学校の勉強が非常にできる人は多いんだけれど。
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