「日本一新大綱」
日本一新十一基本法案を国民に問う
自由党党首  小沢一郎

私たち自由党は第百五十六通常国会で、「日本一新十一基本法案」を提出しました。政権交代を実現し、日本を根本から立て直すために、新しい日本の骨格をまとめた「新国家の設計図」であります。それらを一体として実施することで、究極の目標である「自由で公正な開かれた社会」と、「自立した国民による自立国家・日本」を実現しようと考えております。
十一基本法案の概要を簡潔にご説明いたします。

最も重要な「人づくり基本法案」は、現行の教育基本法に替えて、国、地方自治体、学校、家庭、地域社会が互いに協力して、「自由で公正な開かれた社会」の構築を担い得る「よき日本人」を育成するための基本方針を定めています。
第二の「国民主導政治確立基本法案」は、国会における法案審議への官僚の関与を禁止するとともに、国会の立法調査機能を高めることで、国会を国会議員同士の討論の場に変え、国政を官僚の手から取り戻すことが目的であります。
「安全保障基本法案」では、自衛権の発動としての武力行使は限定的に規定する一方、自衛隊とは別に「国連平和協力隊」を創設して、国連の安保理あるいは総会で決議が行われた場合には、率先して国連の平和活動に参加する――との原則を確立します。
また、「非常事態対処基本法案」では、わが国への武力攻撃だけでなく、大規模テロ、大規模災害等に備えて、平時から内閣に、総理大臣を議長とする「非常事態対処会議」を設け、迅速な対処ができるようにします。
第五の「地方自治確立基本法案」では、国の行政を外交、防衛、基礎的社会保障等、国の根幹に関わる分野に限定し、その他は全て、権限も財源も地方に任せることとし、地方自治体は概ね三百の市に再編成します。その第一歩として、地方への個別補助金は廃止し、一括交付金として配分します。

「国民主導政治」以下の四法案はいわば、日本の統治機構の改革に関するものですが、次の五法案は、経済・社会の活力を高めるためのものであります。

その中核を成す「税制改革基本法案」は、所得課税の各種控除を原則廃止する一方、税率を大幅に引き下げて、現在の所得税を簡単で公平な「申告税」に改め、国民の誰もが自主申告して納税する仕組みにします。社会保険料は現行水準以下に抑え、消費税は全額、基礎的社会保障の財源に充てます。
それに関連して、「国民生活充実基本法案」では、性別、年齢等に関係なく、誰もが安心して、生きがいを持って暮らせるように、勤労、社会保障、家庭生活等について、基本的な国民生活を保障する原則を定めています。特に、所得控除を廃止する替わりに、親と同居している人や、子どもを育てている人への手当を新設します。
八番目の「市場経済確立基本法案」では、経済を活性化するために、事業活動に関する規制は原則廃止します。そのうえで、統一の市場ルールを定め、監視役の公正取引委員会の充実等によって、市場へのチェック機能を強化することにします。
また、「特殊法人等整理基本法案」により、特殊法人、日銀を除く認可法人、独立行政法人は、原則として三年以内に廃止あるいは民営化して、肥大化した行政分野を縮減し、民間の経済活動の舞台を大幅に広げます。
さらに、安全な農林水産物を国内で安定的に供給することを目的とする「食料生産確保基本法案」は、特に重要な米、小麦、大豆等について、原則として全て市場で取引する一方、生産目標枠を定めて、それに対する生産費・所得保障制度を創設することとしています。
最後の「地球環境保全基本法案」は、新しい日本が国際安全保障と並んで、地球環境の保全に率先して取り組み、地球・人類に貢献することを国家目標とすることを、内外に宣明するものであります。

以上の十一基本法案は、四月から逐次国会に提出し、去る七月十四日、「税制改革基本法案」を最後に全て出し終えました。正に、「日本一新大綱」の完成であります。

これら「日本一新十一基本法案」は、私たちが国会で多数派となり、政権を担った場合、半年以内に国会で全て成立させ、短期間で日本を立て直すことができるように工夫したものであります。また、日本の将来像と改革目標を国民に具体的に示すことで、国民自身の決断と選択によって新しい国づくりを行う政治手法を確立したい、と考えております。
皆様のご理解とご支持を、心よりお願い申し上げます。

平成十五年七月

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